『Tropa de Elite トロッパ・ヂ・エリッチ』が話題になっている。
2007年製作、監督は『Onibus 174』のジョゼ・パリージャ、主演は旬の若手俳優ワグネル・モウラ。 一般公開は来月からだが、すでに海賊版の売上は過去最高を記録しているらしい。海賊版だけに売上数を把握するのは難しいけど、普段は買わない中上流階級にも浸透している。ここ数年来の国産映画で最高の出来と絶賛されている問題作。 舞台はリオのファヴェーラ。 『Tropa de Elite』はエリート部隊という意味。BOPE(ボッピ)—Batalhão de Operações Policiais Especiaisという名前で知られるリオデジャネイロ州軍警察特殊部隊のOBが書いた半暴露本が原作になっている。軍警察=Policia Militar、市警=Policia Civil、連邦警察=Policia Federal、国家警備隊=Farca Nationalなどがリオの治安維持のために配備されているけど、リオ州内・市内の各区域に所轄を持つ軍警察がファヴェーラのもめごとを担当している。当然、所轄ファヴェーラのトラフィカンチから金をもらい、犯罪を見逃すという汚職が横行している。月給せいぜい5万円の軍警察官が殺される危険のあるファヴェーラに突入するか、それかお金を受け取るかというモラルを超えた世界。 そんな軍警察からモラルと強靱な精神力を持つ人間が選抜され、ハードな特殊訓練をクリアーするとBOPE(ボッピ)の隊員、つまり汚職に染まらないエリート部隊の一員となる。 リオのファヴェーラに関わっている軍警察・BOPE・トラフィカンチ・住民・中上流階級。同じリオながら別世界に住む中上流階級の関心を呼んでいるのは、間接的にトラフィカンチに金を落としているのはドラッグを買っている彼らであること。治外法権のファヴェーラでなにが起こっているのか、今までは知らないふりをしていたし、これまでファヴェーラの内部と外部のつながりを描いた映画はなかった。今は知らなければいけない状況にいるということ、それを脚色なしに、それでも凄まじいけど、真摯に描き告発している。リオに住んでいたら、どこで、どんな生活をしていようとも、ファヴェーラと間接的につながっているという事実。リオに限らずブラジル中で話題になっているのは、近年広義のファヴェーラ化が進んでいるからなのだろう。 本作を日本でみたら、はっきりいって、『シティ・オブ・ゴッド』と同じく、実感のない別世界のできごとで、肌でファヴェーラの空気感を思いだす事なんて、当たり前にないに違いない。リオは一大ファヴェーラ文化であって、サンバもファンキもそのひとつだし、トラフィカンチもBOPEもそのひとつ、なんだなと思う。 『Tropa de Elite』は、今月20日から始まった国際映画祭フェスティバル・ド・ヒオのオープニングで上映された。 http://www.festivaldorio.com.br/site/
by techinho
| 2007-09-26 01:27
| Filme
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